推しが消えた(プロローグ)

プロローグ 推しが消えた

作者:桜めっと

光の届かない深い場所で、誰かが微笑んでいる。

その笑顔は、画面の向こうでしか見えない幻影。

誰かを癒し、誰かを惑わせ、そして誰かを傷つける。

ネネコという名の、可愛らしい仮面をかぶった少女。

でも、その微笑みは本物だろうか?

優しい声で囁かれる言葉の裏に、ほんの僅かな淀みがあると気づいたのは、いつからだっただろう。

—— 画面の向こうにいるのは誰なのか?

私たちは、誰も彼女を知らないはずだった。

けれど、それでも追い求めるのはなぜなのか。

まるで、迷い込んだ森の奥から呼ばれる声のように。

その声に導かれて、彼女を知ろうとするたびに、

心に奇妙なさざ波が立つ。

それが純粋な憧れなのか、狂おしいほどの執着なのか。

どちらなのかもわからないまま、ただ、誰もが彼女を探している。

気づけば、振り返るたびに冷たい視線が背中をなぞる。

まるで、誰かがずっと見守っているかのように。

—— 画面の向こうにいるのは 、果たして誰なのだろう。

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This is a work of fiction. Names, characters, businesses, places, events and incidents are either the products of the author’s imagination or used in a fictitious manner. Any resemblance to actual persons, living or dead, or actual events is purely coincidental.

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推しが消えた
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