第2章:オフ会の始まり

第2章:オフ会の始まり 推しが消えた

作者:桜めっと

当日、オフ会の場所はカラオケボックス。

最初に現れたのは神だった。

30代半ばの彼は、落ち着いた雰囲気で、塾講師をしている。黒縁眼鏡をかけ、小太りの体型だが、コミュニケーション力が高く、誰に対しても優しく接していた。

次に現れたのはハヤトだ。

平均的な身長にオーバーサイズの洋服を着用した、いかにも今時の高校生といった感じだ。

口数はさほど多くはないが、ネネコについて話し出すと止まらない。

ネネコクラブの中では最もファン歴が長く、誰よりもネネコに詳しいといっても過言ではない。

「塾の先生だなんてすごいですね!俺、頭があんまり良くなくて…」とハヤトが言うと、

「ハヤトはネネコクラブの中で一番古いファンだろ?誰よりも長くネネコを支えてきたファンだ。もしネネコが何かに悩んでるなら、一番気づいてあげられるのはハヤトだと思ってた。だから直接会ってみたかったんだ」と、神は笑った。

嬉しい気持ちと照れくさい気持ちが交錯し、ハヤトも小さく笑った。

20分ほど2人で会話していた。

「遅れてすみません!」と急いで入ってきたのはチェリーだ。

神とハヤトが自己紹介をすると、柔和な笑顔で会釈をした。

チェリーは20代前半の男性。フリーターで、少し内気でおどおどした印象だ。

しかし、聞き上手で周りの話を穏やかな表情を浮かべながら熱心に聞いているため、悪い印象を与えることはない。

ネネコの話をするときは、少し照れながらも生き生きとしている様子だった。

着席して間もなく「全員分のジュースを持ってくる」と、ドリンクバーまで行ってくれた。

最後に入ってきたのは、虎之助とその彼女であるあみにゃんだった。

虎之助が実は女の子であることに、ネネコクラブのメンバーは驚いた。

「ネネコのファンは男が多いと思ってたから、男っぽい名前を選んだんだ。

そうすれば私も、あみにゃんも、変な男に狙われることはないからね」と虎之助は冗談めいた口調で語り、悪戯に笑った。

虎之助とあみにゃんは、有名な進学校に通う高校生。

虎之助はボーイッシュな女の子で、短めの髪にジーンズ姿。

サバサバとしていて社交的な印象を与える。

パソコン作業が得意なことからネネコの動画編集の手伝いの仕事に応募して選ばれ、動画編集の一部を任されている。

この中でネネコに最も近い存在であると言っても過言ではない。

一方のあみにゃんは小柄で可愛らしく、少し内向的だった。

緊張しているのか、ほぼ虎之助としか話さなかったが、ネネコのグッズはもちろん、猫をモチーフにした持ち物が多く、ネネコのファンであることをオープンにしている様子だった。

あみにゃんが最初にネネコにハマり、その影響で虎之助もネネコのファンになったようだ。虎之助が女の子であったことにメンバー全員が驚いたが、同性であっても誰が見てもお似合いの2人に、その場にいた全員がその関係に納得した。

全員分のジュースを持ったチェリーが再び部屋に姿を現した瞬間、虎之助とあみにゃんは顔を見合わせ、驚いた表情を浮かべた。

彼がチェリーであることを神が最後に来た二人に紹介して間もなく「えっ、チェリーって…あのコンビニの店員さん?」と、虎之助が思わず声に出した。

チェリーも「え!虎之助とあみにゃんだったんですか?」と、驚きの声を上げた。

どうやらチェリーのアルバイト先のコンビニに、客として度々虎之助とあみにゃんが訪れていたようだ。

「めっちゃ偶然!そんなことってあるんだね!」と、ハヤトも驚いた。

「あみにゃんがあそこのコンビニスイーツがお気に入りで、学校帰りに毎週寄ってるんだ」虎之助が言うと、「ネネコがハマってるスイーツが売ってるから、あたしもハマっちゃって…」と、あみにゃんは照れ臭そうに笑った。

こうして、ネネコクラブのメンバー全員が集まった。

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