作者:桜めっと
「この前、ネネコの誕生日だったでしょ?あたしと虎ちゃんは、ネネコへのプレゼントを贈ることにしたの。可愛い猫のマスコットがあって、それがネネコっぽいよねって」
その時、あみにゃんの頭の中にある計画が浮かんだ。
「あたしがネネコ宛に送っておくね?」
そう言って、プレゼントを一旦自宅に持ち帰ったあみにゃんはマスコットの背中を開け、その中にGPSを仕込んでいた。
ネネコの居場所を知り、彼女を追跡するためだった。
「虎ちゃんには言わなかったけど、GPSでネネコの居場所を確認してた。そこで、ネネコがよく行く場所を知ったの。虎ちゃんとよく行ってた、あのコンビニ」
あみにゃんは虎之助を誘い、何度もそのコンビニを訪れた。
ネネコらしき人物を見つけるためだ。しかし、それらしき人物は見当たらなかった。
GPSがコンビニを示す時間帯は、年配の女性と男性しか働いていなかった。
ネネコが若い女性だと信じていたあみにゃんは困惑していた。そんな中、とある男性店員の、どこか特別な視線や態度に気づく。
彼は、虎之助を特別気にかけているようだ。
その瞬間、過去のトラウマが一気に蘇る。
「店員さんが、虎ちゃんを見る目が…虎ちゃんのことを追う視線が…虎ちゃんのこと好きなんだなってわかって。その瞬間、また父親のことを思い出して…気持ち悪くて、吐き気がして」
あみにゃんにとって、男性に好意を向けられるという状況は、再び父親に殴られる恐怖と重なり、死にたいほどのストレスを感じさせるものだった。
それが大切な虎之助に向けられているとなると、自分がそうされたも同然だった。
そして、あみにゃんは自分の恐怖と嫉妬心から、脅迫文を送るという行動に出てしまった。
「その人に虎ちゃんを取られるかもしれないって、そう思ったら…もうどうしようもなくて。だから…ネネコを遠ざけようと思って、脅迫文を送ったんだ」
彼女は涙を流しながら続けた。
「ごめんなさい…こんなこと、するべきじゃなかった…」
「店員さんの言葉選びや話し方、笑い方…男だから声は違ったけど、その他は全部ネネコと同じだった。だから、私は気づいたんだ。その店員さんが、ネネコの中の人だって」
その言葉に全員が驚き、あまりに衝撃的な事実に言葉を失った。